月間通信(2021.9)

今日は冷たい雨の降る物憂げな 10月。目の前には未だテーマの決まらぬ研究と研究への取り組みを書かねばならない月刊通信の締め切り。課題をやりきれずに休みの終わりを迎えてしまったいつかの初秋を思い出します。

「人生の夏休み」と言われる大学生活、その最後の夏休み。私はの貴重な二ヶ月をなるべく良いものにしようとあれこれ理想を膨らませ、それに従うように過ごしていました。名作と呼ばれる映画を見て、友人に勧められた村上春樹の『1Q84』を読み、今年購入したギターの練習をして、初めてのドラゴンクエストに胸を踊らされる。焦るように楽しみを詰め込んで、長い夜を溶かしていました。今考えると、私はやらなければならないことから目を逸らしていただけでなのではないかと思います。

そんな風にして、追いながらもひっそりと追われる毎日を過ごすなか、一つの大きなイベント、「ワクチン接種」がありました。イベントというには不謹慎かもしれませんが、事前に高熱が出るであろう事を知っている場面は人生でそんなに多くないでしょう。そのため摂取日の数日前は少しの怖さや不安とともに、変にドキドキとした気持ちで非日常感を楽しんでいました。1回目、2回目の摂取ともに秋田大学の大学病院で行いました。1回目の会場に多くの人が集まる様子は、最近の閑散とした構内の様子とはうってかわり、どこにこんなに多くの人が潜んでいたのかと驚いたことを覚えています。そして摂取を終えた後、私は見事に2回とも発熱しました。37.6度と 38.7度。どちらもかなり久々の出来事でかなり苦しみました。しかし、事前の準備と助けがあり苦しい中も「本当に高熱が出るのだ」と感動する程には楽しむことが出来ました。

このように過ごした結果、どんよりと重たい 10月を迎えています。しかし、今週の先生方とのミーティングでおそらくテーマが決まり、私が目を背けた時間達を背負いながらも前進していくと思います。そうして人生の夏休みが終わる頃には研究、論文作成の完遂を連れて晴々とした未来を迎えたいと思います。

杉山拓海(学部4年生)